リコーグループは、経営者の活動を含む企業活動全体が社会的良識にかない、多様なステークホルダーの期待に応えられるように、企業倫理と遵法の精神に基づき、経営の透明性を確保しつつ、競争力の強化を目指したコーポレート・ガバナンスの充実に取り組んでいます。これにより、持続的な成長と企業価値・株主価値の向上を図っていきます。
また、企業活動の基礎となる理念・価値観を「リコーウェイ」として定めています。「リコーウェイ」は、「創業の精神」および「私たちの使命・私たちの目指す姿・私たちの価値観」で構成されています。経営の方針・戦略はリコーウェイに基づき策定されるなど、リコーウェイは自律的なコーポレート・ガバナンスの根本的な考え方となっています。
2021年度は社内カンパニー制への移行に伴い、各ビジネスユニット・関連会社に対するモニタリングの適正化や、事業ポートフォリオ・資本配分による事業管理の重点化などを行い、より一層実効性を高めたガバナンスを行っています。
コーポレートガバナンス報告書(2022年6月27日)
取締役会では経営監督およびグループ経営に関わる重要な意思決定を行っています。独立性の高い社外取締役を招聘することにより、経営の透明性の確保と公正な意思決定の一層の向上を図っています。独立社外取締役を含む非執行取締役、執行を担う取締役がそれぞれの専門性や経験などを活かし、重要案件に対して深い議論を行うことで、成長につながる新たな挑戦を促すとともに、株主をはじめとする多様なステークホルダーの視点で経営の監督が行われる体制を構築しています。また、すべての取締役に対し、取締役会への出席率が原則80%を下回らないことを求め、経営に対する実効的な監督機能を果たすよう要請しています。2021年度は取締役10名のうち、半数の5名が独立社外取締役で構成されており、多様な意見を取り入れるとともに、経営の恣意性を排除するよう努めてきました。また、2022年度より、当社は取締役会に占める独立社外取締役の割合を3分の1以上から過半数とする方針に変更しました。あわせて、取締役会における社外取締役の役割・機能をより発揮できるよう、第122回定時株主総会終了後、新たに筆頭社外取締役を選任予定です。従前より取締役会議長は非執行取締役が担う定めとしていますが、筆頭社外取締役は、取締役会議長と協働してガバナンスの整備・高度化を担い、当社における独立社外取締役の職務を主導する役割となります。なお、筆頭社外取締役は、当社の経営状況、議長および取締役の就任状況などに照らして、取締役会の判断に基づき、必要に応じて選任を行います。議長と筆頭社外取締役による適切な協働・役割分担のもと、取締役会の円滑な運営と機能発揮を確保します。
2022年5月20日現在
リコーの取締役会は、取締役会ならびに取締役が、企業価値向上に資する審議、判断、行動をするにあたっての礎となる考え方や姿勢について、創業の精神に立ち戻って議論をしました。その結果、取締役会が維持・醸成していくべき「ボードカルチャー」として、以下の通り明文化しました。
取締役会は、
経営環境や経営体制が変わる中で、取締役会は常に上記ボードカルチャーに立ち返り、審議や意思決定はもとより、取締役の選任や、株主をはじめとするステークホルダーとの対話などにおける指針とします。
監査役会では、監査の方針および業務の分担などを協議決定し、取締役の職務の執行を監査するほか、当社の会計監査人、および内部監査部門との連携や、当社各部門・子会社監査を通じて、経営への監督機能を果たしています。監査役は、取締役会にとどまらず、重要な会議に出席し、また、代表取締役と定期的な情報交換を行っています。当社の監査役は5名で、社内の事情に通じた常勤監査役2名と、当社の定める独立役員の要件を満たす社外監査役3名としており、過半数が独立社外監査役です。また、監査役会として必要な知識、経験、専門能力をバランスよく確保して、監査役会を構成することとしており、各監査役の専門分野における豊富な経験と幅広い見識、および独立した客観的な視点で深い議論が行える体制を構築しています。
2022年5月20日現在
監査役会が、監査役の実効的な職務遂行のため、監査実績説明書で報告している活動を行うとともに、監査役、会計監査人および内部監査室においても、当社の監査機能全体の強化・充実を図るため、適切な連携を行っています。
監査役、会計監査人および内部監査部門である内部監査室は、監査方針・計画・方法について相互に擦り合わせを行っています。加えて、これまで分散管理されていた子会社の基本情報、リスク情報を「拠点リスクマップ」として一元的に整備し直し、それぞれの監査活動で有効活用できるよう情報共有を行っています。また、月次で三様監査会議を開催し、監査内容および監査結果について情報交換を行うほか、内部統制の状況やリスクの評価などに関しても意見交換し、課題の共有を図っています。
月次で常勤社内監査役と内部監査室、内部統制担当役員との定例会を実施し、監査結果や課題認識の共有を行っています。また、内部監査室より監査役会において四半期ごとに活動状況などの報告を行い、独立社外監査役の視点を取り入れた意見交換を行っています。
監査結果や情報の共有は三様監査会議にて実施しています。加えて、特定のテーマに関しては、必要に応じて適宜会議を設定し、速やかな情報交換と議論を行っています。
会計監査人に対して、内部監査結果の共有や意見交換を行っています。
CEOをはじめとした経営幹部の指名、報酬などの決定については、取締役会の経営監督の最重要事項の1つとして、独立社外取締役を委員長、委員の過半数を独立社外取締役とする「指名委員会」、ならびに「報酬委員会」を設置することで、取締役、執行役員などの選解任や報酬の透明性、客観性を確保しています。また、指名委員会、報酬委員会の審議には、毎回社外監査役1名がオブザーバーとして出席しています。
2021年度の指名委員会は独立社外取締役4名、社内非執行取締役1名、社内執行取締役1名の体制、報酬委員会は独立社外取締役5名、社内非執行取締役1名、社内執行取締役1名の体制で構成されています。
ガバナンス検討会は、リコーグループのガバナンスの方向性や課題について、取締役、監査役などが包括的な議論を行う場として開催しています。実施した検討会の概要はガバナンス報告書などで開示しています。取締役検討会は、取締役会における会社の重要なテーマ(中期経営計画など)の決議に向けて、取締役および監査役が事前に十分な議論を尽くすための機会・時間として開催しています。社外役員会議は、取締役会における議論に積極的に貢献する観点から、社外役員間、または社外役員と常勤監査役などとの間で独⽴した客観的な⽴場に基づく情報交換・認識共有を図る場として開催しています。
リコーグループ全体の経営について全体最適の観点での審議および意思決定を迅速に行うために、取締役会から権限委譲された社長執行役員が主催する意思決定機関として、一定の資格要件を満たす執行役員および経営企画部門責任者で構成される「グループマネジメントコミッティ(以下、GMC)」を設置しています。取締役会での決裁必要項目は取締役会規程にて定めており、その基準に満たない決裁案件や事業執行に関する重要事項はGMCにて意思決定がなされます。また、GMCによる業務執行に関する事項について、3か月に1回以上取締役会に報告を行っています。
開示委員会は、投資家の投資判断に影響を与える情報の適切な開示に加え、投資家の投資判断に資する会社情報の主体的な開示を実施することで、株主および資本市場との対話を促進し、それを通じて株主および資本市場との信頼関係を構築し、リコーグループに対する適正な評価の獲得を実現することを目的としています。当委員会は、開示統括部門/経理部門/法務部門/経営企画部門/取締役会運営部門/広報部門/情報発生・情報認知部署/関連会社の主管管理部門/内部統制部門の各機能の代表と開示責任者であるCFOで構成されています。
年次報告書類や適時開示書類の適切性・正確性の判断、開示手続きにおける情報開示の要否判断に加えて、投資家の投資判断に資する会社情報の積極的な開示に関する審議や開示手続きのモニタリングを実施しています。また、開示情報の適時性、開示書面内容の正確性・妥当性、開示判断の合理性などに関して、内部統制部門が定期的に評価を行い、内部統制委員会、取締役会へ報告を行います。
内部統制委員会は、リコーグループの内部統制に関する審議および意思決定を行うためにリコーの社長執行役員のもとに設置される機関です。当委員会は、GMCメンバーとESG担当役員から構成され、四半期ごとの開催を原則とし、状況に応じて臨時あるいは緊急で開催しています。
リスクマネジメント委員会は、リコーグループ全体のリスクマネジメントプロセス強化のために、GMCの諮問機関として設立されました。当委員会は、リスクマネジメント担当役員を委員長とし、各組織の有識者を委員とすることで、リスクの網羅性確保と議論の充実を図り、リコーグループの経営において対応・重点化すべきリスクをGMCに提案しています。また、リコーグループのリスクマネジメント実効性強化のため、必要に応じてリスクマネジメントシステムの見直し・再構築を行います。
また、経営と各事業執行組織の連携を取り、より実効性の高い一気通貫のリスクマネジメントシステムとするために、各組織からリスクマネジメント責任者・推進者を選任し、各組織における自律的なリスク管理体制を整備しています。
さらに、各リスクマネジメント推進者を対象とした“リスクマネジメント連携強化会議”において、リスク管理に関連する勉強会や情報共有を行い、リスクに強い組織になるため継続的な取り組みを進めています。
2021年度 | 開催月 | リスクマネジメント委員会議題 |
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第1回 | 7月 |
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第2回 | 12月 |
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第3回 | 12月 | |
第4回 | 2月 |
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第5回 | 3月 |
投資委員会は、GMCの諮問委員会と位置づけ、投資について、資本コストも踏まえた財務的視点での妥当性、事業戦略視点での収益性や成長性リスク等の観点で投資計画の検証を行います。多様化する外部への投融資案件について、専門的なメンバーが事前に確認/協議することにより、経営戦略との整合性や投資効果を高め、投資判断のスピードと適確性を向上させることを狙いとしています。
当委員会は、戦略、財務、リスクを主な審議の視点としており、そのメンバーは、CEOの指名する委員長と、各視点の専門家として経営企画/経理/法務/内部統制の各機能の代表と案件に応じた有識者から構成されています。立案部門との関係では、事前協議先として対象案件の投資価値を総合的に審議の上、評価、アドバイスすることを役割としているため、投融資案件についての決定権および拒否権は有しませんが、各案件に対し、当委員会としての審議結果を明確に出すことにより、各案件決裁者の客観的判断をサポートします。
GMCの諮問機関としてリコーグループ全体の外部投融資判断の適確性を向上させるために、GMC決裁基準金額以下の案件も審議の対象とし、立案部門の投資判断力強化を行うとともに必要に応じて決裁基準金額の変更等、GMCに対して提言を行います。
环境、社会和治理委員会は,環境・社会・ガバナンス分野におけるリコーグループの中長期的な課題を経営レベルで継続的に議論し、グループ全体の経営品質の向上につなげていくことで、ステークホルダーからの期待・要請に迅速かつ適切に応えていくことを目的としています。当委員会は、具体的に以下の役割を担っています。
当委員会はCEOを委員長とし、GMCメンバーと監査役およびサステナビリティ推進本部長から構成される意思決定機関です。四半期に一度開催される委員会では議論するテーマに応じて事業部門の責任者を招集し、サステナビリティ課題を横断的に検討・議論していく体制を整えています。
社外取締役の選任基準は、社内取締役と同じ上記の基準に加え、異分野に関する専門性、問題の発見、および解決能力、洞察力、戦略的思考能力、リスク管理能力、指導力などに優れていること、さらに、当社所定の「社外役員の独立性基準」に照らしあわせ、独立性に問題がないことを付加的な基準としています。
取締役の選任にあたっては経営能力や人格・人間性などの他に、多様な視点や、経験、さらに多様かつ高度なスキルを持った取締役で構成されることが必要であると考えています。
加えて、人種、民族、性別、国籍などの区別なく、それぞれの人格および識見に基づいて候補者を選定し、これらの属性に関する多様性を確保することを方針としています。
持続的な成長と企業価値・株主価値の向上のためコーポレート・ガバナンスの強化・充実に継続して取り組んでいます。
取締役会は、取締役、CEO、および経営陣幹部等の選解任・評価における手続の客観性・透明性・適時性を確保するため、取締役会の諮問機関である指名委員会を設置しています。
指名委員会は、客観性・独立性を高めるために、独立社外取締役を委員長、過半数を独立社外取締役で構成しています。また、委員会には社外監査役1名が同席し、審議の透明性の確保に努めています。
指名委員会は、以下の諮問事項について審議を行い、取締役会へ審議内容および結果を報告・答申しています。
取締役候補者の指名に先立って、取締役会の実効性評価会で認識された課題などを踏まえ、指名委員会は、取締役会が経営判断および執行監督を適切かつ有効に行うことができる体制を維持するために、取締役会の構成や取締役に求められる専門性・経歴(スキルマトリックス)などについて継続的な審議を行っています。取締役候補者の指名に関しては、指名委員会における数回の審議を経て、厳選な審査を行っています。
取締役の役割・責務を果たすために必要不可欠となる経営能力や人格・人間性を基本要件とし、当社における経営環境・目指す方向性・課題などに応じた当社の取締役として求められる資質・経験・スキル・多様性などについて多面的に審査するとともに、指名の根拠を明確にした上で取締役会へ答申しています。
取締役会は、指名委員会からの答申を踏まえ株主視点で審議を行い、株主総会へ付議する取締役候補者を決定しています。
取締役の評価は、取締役会から諮問を受けた指名委員会が毎年実施しており、二段階による評価を行っています。一次評価は、取締役の職務継続の妥当性について慎重かつ適正に審議することで、選解任の適時性を確保しています。また、二次評価においては、実績を多面的に評価し、課題などを明確にして、本人へ評価結果のフィードバックを行うことにより、経営の質的向上を図っています。なお、指名委員会での取締役の評価に関する審議の内容および結果は、取締役会に答申され、取締役会で取締役の職務継続の妥当性について監督を徹底することとしています。
なお、評価にあたっては、「取締役として経営監督の遂行状況」、「業績・資本収益性・その他の主要経営指標など財務の視点」、ならびに「株主への貢献度や資本市場の評価の視点」などを基準としています。
評価の視点 | カテゴリ | 評価項目(代表的なもの) | 項目の詳細・補足 |
---|---|---|---|
経営監督の遂行 | 資質・能力 | 企業価値、株主価値の最大化に向けた行動、執行監督と取締役間での相互牽制の姿勢、リスクマネジメント、会社経営に必要な見識 | |
財務指標 | 業績 | 連結業績推移 | 売上高、営業利益、当期利益、ROE、ROIC、FCF |
2021年度事業計画の状況 | ビジネスユニット別、地域別、主要施策 | ||
第20次中期経営計画に対する実績 | 財務、主要施策 | ||
資本市場・株主指標 | 資本市場 | 株価指標推移 | 株価、時価総額、PBR |
格付 | |||
株主 | TSR・株主還元 |
なお、取締役の評価にあたっては、「株主への貢献度や資本市場の評価の視点」の基準の1つとしてTSRを採用していますが、突発的な株価変動の影響を避けるため年度平均株価により算出したTSR(下表参照)を使用しています。
リコーグループが中長期にわたり、継続的に株主価値・企業価値を高め、社会の構成員としてその社会的責任を果たし永続していくための重要な取り組みとして、CEOサクセッションプランを位置付けています。
コーポレート・ガバナンスの強化の観点から、客観性、適時性、透明性の高い手続によるCEOサクセッションプランの構築を目指しています。
CEOの評価は指名委員会が毎年実施しており、二段階による評価を行っています。一次評価は、職務継続の妥当性について慎重かつ適正に審議することで、選解任の適時性を確保しています。また、二次評価においては、実績を多面的に評価し、課題等を明確にして、本人へ評価結果のフィードバックを行うことにより、経営の質的向上を図っています。なお、指名委員会での評価に関する審議の結果は、取締役会へ報告され、CEOに対する実効性の高い監督を行うこととしています。
なお、CEOの評価にあたっては、執行兼務取締役と同様、「取締役としての経営監督の遂行状況」、「業績・資本収益性・その他の主要経営指標など財務の視点」、ならびに「株主への貢献度や資本市場の評価の視点」(上記参照)に基づく評価に加え、「将来財務の視点」に基づく評価を組み合わせることで、CEOとしての総合的な経営監督ならびに業務執行能力の評価を行っています。
評価の 視点 |
カテ ゴリ |
評価項目 (代表的 なもの) |
項目の 詳細・ 補足 |
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経営監督 の遂行 |
取締役評価と同一カテゴリ・評価項目 | ||
財務指標 | 同上 | ||
資本市場・ 株主指標 |
同上 | ||
将来 財務指標 |
ESG | 環境 | 環境経営の取り組み |
社会 | SDGsの取り組み | ||
ガバナンス | 制度・開示・IR・コンプライアンス | ||
社員 | 人材の育成・活用 | 人事制度・職場環境 | |
社員エンゲージメント | 外部調査 | ||
安全・健康 | 職場の安全管理・健康管理 | ||
顧客 | 重大事故 | 製品・情報セキュリティ | |
顧客満足 | 外部調査 |
年に1回(9月頃)、CEOは将来のCEO候補者案を作成するとともに、それらのCEO候補者に対する育成計画を策定し、指名委員会でCEO候補者案および育成計画について説明を行っています。11月始めの指名委員会でCEO候補者案ならびに育成計画の妥当性を審議するとともに、CEOに対して育成に関する助言を行い、その結果を取締役会へ報告しています。取締役会は、指名委員会からの報告を受けて候補者選定および育成計画の妥当性を確認する等、CEO候補者の選定・育成に主体的に関与しています。
CEO候補者の選定にあたっては、交代時期を想定し下表のタームごとの候補者を選定しています。なお、事故あるときの交代候補者1名は、CEOの選定と同時に取締役会の決議により決定しています。
ターム | 選定人数 |
---|---|
事故あるときの交代候補者 | 1名 |
次期交代候補者 | 数名程度 |
次々期交代候補者 | 数名程度 |
CEOは、将来のCEO候補者の育成計画についての指名委員会での審議・助言を踏まえて、次年度、CEO候補者それぞれの課題に応じた当人の成長に必要なチャレンジの場を付与し、実績を積ませるとともに、CEO候補者のアセスメントを踏まえ当人の成長に必要な助言等を実施しています。
CEO候補者の評価は毎年実施し、CEOはCEO候補者の育成期間(4月から翌年3月)における実績および成長状況(評価期間は4月から指名委員会開催前月である10月まで)について11月初めの指名委員会へ報告を行っています。指名委員会は、CEO候補者の継続・交代などについて審議を行うとともに、必要に応じて、外部専門家の助言なども活用しながら、CEO候補者の評価を実施し、その結果を取締役会へ報告しています。取締役会は、指名委員会からの報告を受けてCEO候補者の評価および継続・交代における審議の妥当性を確認するなど、CEO候補者の評価プロセスに主体的に関与しています。
株主価値の増大にむけて、中長期にわたって持続的な業績向上を実現することに対する有効なインセンティブとして、役員報酬を位置付けています。また、コーポレート・ガバナンス強化の視点から、報酬水準の設定や個別報酬の決定について、客観性・透明性・妥当性の確保を図るための取り組みを行っており、以下の基本方針に基づいて報酬を決定しています。
報酬構成 |
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ガバナンス |
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インセンティブ付与を通じた収益拡大と企業価値向上およびコーポレート・ガバナンス強化に向け、より客観的で透明性のある報酬の検討プロセスを構築するために、報酬委員会を設置しています。報酬委員会は、取締役の報酬基準、および業績に基づき、また、指名委員会における取締役の評価結果などを踏まえ、複数回にわたる審議を経た上で、基本報酬、賞与、株式取得目的報酬、および株価条件付株式報酬に関する各々の報酬案を決定し、取締役会へ答申しています。
取締役会は、報酬委員会から答申のあった各報酬議案について、審議・決定を行います。賞与については、取締役賞与フォーミュラに基づく個人別賞与額が適切であることを確認の上で、賞与支給総額ならびに株主総会への取締役賞与支給議案および付議の要否を決定します。株主総会で取締役賞与支給議案が決議された後、取締役会で決定された個人別賞与額が支払われます。
企業業績との適切な連動性確保の観点から、毎期の報酬委員会で当社の業績に対して狙いとする水準を報酬区分ごとに確保できているかを判定しています。基本報酬は外部専門機関の調査結果に基づくベンチマーク企業群*の役員の報酬水準を目安とし、短期・中長期インセンティブはベンチマーク企業群の業績と比較して当社の営業利益水準が「上位」であれば「ベンチマーク企業群の上位」の水準、「下位」であれば「ベンチマーク企業群の下位」の水準となるように設定しています。
報酬区分 | 報酬名称 | 社内取締役 | 社外取締役 | 備考 | |
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執行 | 非執行 | ||||
固定 | 基本報酬 | 〇 | 〇 | 〇 | 役割・責任に応じた報酬 |
変動(短期) | 業績連動型賞与 | 〇 | 〇 | ― | 業績目標の達成度に連動 |
変動(中長期) | 株式取得目的報酬 | 〇 | ― | ― | 役員持株会を通じて支給全額をリコー株式の取得に充当 |
株価条件付株式報酬 | 〇 | ― | ― | 中長期的な企業価値・株主価値の向上へのインセンティブ |
取締役に期待される役割・責任を反映する報酬として、在任中に支払う月次金銭報酬です。
株主総会で決定された報酬総額の範囲内で支給額を決定し、2021年度の支給総額は、2億9,615万円になります。
報酬構成 | 報酬水準の主な設定方法 | |
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社内取締役 | 「経営監督の役割に対する報酬」、「経営責任や役割の重さを反映する報酬」を軸とし、「代表取締役や取締役会議長などの役割給」を加算。 |
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社外取締役 | 「経営監督の役割に対する報酬」、「経営への助言に対する報酬」を軸とし、「指名委員長・報酬委員長などの役割給」を加算。 |
|
業績連動型賞与は対象事業年度の会社業績と株主価値向上を反映する報酬として、事業年度終了後に支払う金銭報酬となり、2021年度は以下を評価指標として設定しています。
評価指標 | 設定理由(狙い) |
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連結 営業 利益 |
時価総額と相関を有し、かつ事業活動による成果を示す営業利益を評価指標とすることで、取締役が利益成長と収益性向上に責任を持つことを明確にする。 |
ROEの 当該年度 実績に 基づく 達成率 |
資本収益性向上の重要指標であるROEを評価指標に設定することにより、取締役が株主価値向上に責任を持つことを明確にする。 |
DJSI*の 年次Rating |
全社的なESGの取り組みの確認ツールとして活用しているDJSIの年次Ratingを評価指標とすることで、ESG向上へのインセンティブとする。 |
また、報酬委員会においては、下記フォーミュラにより算出された結果を踏まえ、指名委員会における取締役評価の結果なども含めて、個別賞与支給額の妥当性を審議の上で取締役会に答申し、取締役会は、これを踏まえ、株主総会への取締役賞与支給議案付議の要否を決定しています。
当年度の賞与については、報酬委員会の審議において下記フォーミュラにより算出された結果が適切であると判断され、支給総額は2,969万円になります。
株主価値向上を反映する報酬は、中長期的な当社の企業価値向上へのコミットメントを強化する目的とし て、以下の「株式取得目的報酬」と「株価条件付株式報酬」で構成されます。
(株式取得目的報酬)
株式取得目的報酬は、取締役の保有株式数を着実に増やし、株価の変動による利益・リスクを株主と共有することを目的とした⾦銭報酬となります。在任中に定額を毎月支給し、その同額を当社役員持株会を通じて自社株式の取得に充当します。報酬額は、株主総会で決定された報酬総額の範囲内で役位別に設定しており、当年度の支給総額は、1,173万円です。
(株価条件付株式報酬)
株価条件付株式報酬は、取締役の報酬と当社株式価値との連動性をより明確にし、取締役が株価の変動による利益・リスクを株主と共有することで、中長期的な企業価値・株主価値の向上に貢献する意識を高めることを目的としています。
株価条件付株式報酬は,当社が金銭を拠出することにより設定する株式交付信託(以下“信”託)が取引所市場から当社株式を取得し、当社が各取締役に付与するポイント数に相当する数の当社株式が本信託を通じて各取締役に対して交付される制度(以下「本制度」)です。
取締役が当社株式の交付を受ける時期は、原則として取締役の退任時になります。
当社が各取締役に付与するポイント数は、取締役会決議により定められた株式交付規程に基づいて役位別のポイントが付与され、取締役が株価の変動による利益・リスクを株主と共有する趣旨から、原則として 在任期間中の当社株価の伸長率とTOPIXの伸長率との比較結果に応じた率(0~200%)を乗じ、最終的な交付株式数が決定されます。また、取締役在任期間中に、会社に損害を及ぼす重大な不適切行為があった場合には、株式報酬の返還要請を行うべく、マルス・クローバック条項を定めています。
なお、当年度の株価条件付株式報酬の付与ポイントに基づく費用計上額は1,474万円です。当年度は取締役の退任実績がないため、当社株価の伸長率の実績に関する開示事項はありません。
監査役の報酬は、適切に監査を行う役割に対する基本報酬のみで構成されています。報酬水準は、監査役会が外部ベンチマークの調査結果を踏まえて協議し、第84回定時株主総会で決議された監査役報酬枠の範囲内で決定しています。
評価にあたっては、引き続き、取締役会の実効性に留まらず、任意の指名・報酬委員会および取締役会における執行の対応も対象とした評価を行いました。あわせて、評価の客観性を確保するため、第三者による評価を実施しました。
取締役・監査役による記述評価、および匿名性を確保した第三者によるアンケートの分析結果を共有した上で、すべての取締役と監査役が参加した討議により評価を行いました。討議では、前回の実効性評価で当社取締役会が設定した以下の取締役会運営の基本方針および3つの対応項目について、2021年度の取締役会を振り返って評価を実施しました。
2021年度は新たに導入した社内カンパニー制のもと、各ビジネスユニットの業績や施策のモニタリング・支援を行うとともに、持続的な成長の加速に向けた人的資本やデジタル戦略など、経営基盤に関する議論を適切に行うための取締役会の運営につとめました。具体的には、取締役会主導で重点的に審議すべき事項を決定し、年間スケジュールに基づいて報告と審議を行いました。あわせて、社外役員会議の設置や社外取締役の経営会議オブザーブ参加に加え、M&Aなどの重要テーマにおける事前説明の強化を通じて、取締役・監査役への情報共有の充実化を図りました。
当社取締役会における審議状況の透明性の確保を目的として、2021年度 取締役会の議案に関する時間の配分について、以下のとおり開示します。
上記の評価に加え、2022年度は次期中計策定年度であることを勘案し、当社取締役会は、以下の〈基本方針〉にもとづいて運営し、3つの具体的な〈対応項目〉を軸として取締役会の実効性向上に取り組みます。
監査役候補者は、監査役としての職務の遂行を通じて、当社の健全で持続的な成長と中長期的な企業価値の向上に貢献できる人材、かつ監査役会としての知識、経験、専門能力のバランスを考慮し、適切な要件の候補者を選任することとしています。なお、監査役候補者の選任にあたって、客観的な適格性評価を行うための基準(要件定義)を監査役会にて以下のように策定しています。
社外監査役の選任基準は、上記の基準に加え、企業経営・財務会計・法律における高い専門的知見および豊富な経験を有していること、および「社外役員の独立性基準」と照らし合わせ、会社との関係、代表取締役その他の取締役および主要な従業員との関係などを勘案して独立性に問題がないことを付加的な基準としています。
監査役の選任にあたって、ダイバーシティを考慮する際には、人種、民族、性別、国籍などの区別なく、それぞれの人格および識見に基づいて候補者を選定することで、これらの属性に関する多様性を確保することも重視しています。
監査役候補者の選任にあたっては、監査役の独立性確保を重視し、「候補者の推薦」「候補者の指名」を監査役会主導で行う下図のようなプロセスとしています。
監査役会は、監査役候補者の選任基準に基づき、CEOと協議の上、候補者の推薦を行い、指名委員会による確認を経て、候補者の指名・提案を行います。取締役会では、監査役会の判断を尊重し、監査役候補者の指名について決議されます。
当社の取締役・監査役に向けたトレーニングは、社内と社外の取締役・監査役それぞれの役割や状況に応じた知識の習得・更新を行うことによって、取締役会における監督機能を発揮し、企業価値・株主価値の向上に資する議論が建設的に行われ、会社の重要な統治機関の一翼を担う者として期待される役割・責務を適切に果たすことを目的としています。
社内取締役・監査役の就任に際しては、役割と責務の確認、コーポレート・ガバナンスやリスクマネジメント、法務・財務等の責務の履行に必要な知識を習得するための研修を実施しています。また、就任後においても、最新の知識の更新を目的に、各取締役・監査役に適合した社内外の研修やeラーニング等によるトレーニングの機会を確保しています。
社外取締役・監査役には、責務の履行にあたって十分な知見と経験を有する者から選任しています。就任に際しては、当社の状況に関する理解を深めるための知識として、事業戦略、財務状況、組織体制等の説明や、必要に応じて主要拠点の現場視察等の機会を設けています。また、就任後においても、当社の状況や経営環境等の情報を継続的に提供・共有することにより、取締役会の経営監督機能および監査役の監査の実効性確保、向上を図っています。
上記対応が適切に行われていることを確認するため、これらの実績は、取締役会に報告しています。
当社は,業務提携や,協働ビジネス展開等の円滑化および強化の観点から,配当等のリターンも勘案しつつ,今後のリコーグループの発展に必要かつ有効と認められる場合に限り、関連するパートナーの株式等を保有することができるものとします。
具体的には、毎年取締役会において個別銘柄ごとに保有に伴う便益やリスクが資本コストに見合っているか等を検証し、中長期的に保有の意義が認められなくなったと判断される銘柄については縮減を図るものとします。
政策保有株式の議決権行使に際しては,提案されている議案ごとに,当該企業の中長期的な企業価値の向上を図るものか、株主価値の毀損につながらないか精査した上で、賛否を判断し議決権を行使します。
政策保有株式の推移