ブロックチェン技術はンタネット上での信頼の仕組みです。仮想通貨(暗号資産)の基盤技術としての利用がよく知られていますが,以下のような特長を持つため,金融分野以外にもさまざまな用途への応用が期待されています。
なかでも電力分野は有望な応用先と捉えられており,世界中で研究開発が進んでいます。
一方で,地球温暖化防止の観点から再生可能エネルギー(再エネ)の活用が加速しており,その利用は企業活動をする上での必要条件となってきています。
ただし,再エネの普及にはさまざまな課題があります。リコは再エネの流通に関する二の課題に注目しました。
一めは,再エネの扱いにくさです。太陽光発電や風力発電は発電量が不安定で,小売電気事業者にとって安定調達しにくい電力です。
二つ目は,再エネであることを証明するために,その他のエネルギー源では必要とされない費用がかかっていることです。再エネであることの証明をブロックチェーン自体の証拠性で保証し,証明プロセス自体をなくすことでより再エネを安価に提供できるようになれば,その利用が普及しやすくなります。
リコーはブロックチェーン技術がこれら二つの課題の解決に役立つ可能性があると考え,再エネがどこで生まれ,どこで使われたのかを,第三者が検証可能*2な形で準リアルタ@ @ムに見える化するシステムを開発しました。このシステムは”再エネの融通による安定調達の実現”と”低価格での再エネ保証”を目的としており,電力取引プラットフォームとしての普及を目指します。
準リアルタesc escムに発電量と消費量が記録されることにより,その時点での電力の過不足が可視化できます。その結果,発電事業者,小売電気事業者などの各関係者間で電気の融通などの調整が可能になり,再エネを抱えることに対してのリスク分散を可能とします。この機能により、各小売電気事業者はムダなく安定した状態での再エネ供給·調達にながります。
また,改ざんされることなく第三者が検証可能な形で発電量や消費量が記録されることが証書の代わりのエビデンスとなり,計測や記録の現場の徹底的なシステム化/デジタル化によって,そのエビデンスの生成コストを大幅に下げられる可能性があります。
ブロックチェ,ン技術を用いた再エネの見える化を実現するシステム
消費者が消費した電力は可視化され,消費電力のうちどれだけが太陽光等の再エネに由来するかが容易に確認できます。消費者が企業である場合には,ブロックチェーンの証拠能力により,その再エネ利用量が正確であることが証明されます。
それにより,本システムで管理された電力を購入する企業は、社会に対して再エネ利用を率先していることの開示が可能になり,温暖化防止に貢献することで企業価値の向上にもつながると考えています。
消費者向けの消費量を示すウェブアプリケ、ション(開発中のデモ、メ、ジ)
リコーの開発する再生可能エネルギーを扱うシステムは,小売電気事業者や消費者に対して,電力の融通やエビデンスの生成,消費量の見える化などを行います。
再エネは供給安定性が低いため,あらかじめ一定の電力量を想定して購入する必要がある小売電気事業者にとって利用を進めるための壁になっています。本システムは,高速な電力融通の仕組みと,証拠性が保証される基盤となり,この問題に対してリスク分散の役割を果たします。
万が一,予定よりも電力需要が高まった場合には,余剰の電力を持つ他の小売電気事業者から再エネの融通を受けられるようになり,供給不足が生じた小売電気事業者だけでなく,在庫を抱えた小売電気事業者にも役に立ちます。
参加企業がお互いの再エネの発電量,消費量を記録し,エビデンスを共有するシステムです。小売電気事業者が主なユーザーですが,再エネの託送/普及に関わる企業ならば参加可能で,全ての企業が証拠性のある保証基盤を共有できます。
本システムでは複数企業が特定目的のために共同体(コンソーシアム)を組むようなブロックチェーンを構築することで,仮想通貨に多く用いられる,書き込みの正しさの検証に多大なコストを要するパブリックブロックチェーンに比べ,格段にインフラコストを安くできる性質があります。このブロックチェーンに記録されたデータを証書の代わりとして用いることが可能になれば,再エネ利用コストの大幅ダウンにつながります。参加企業が増加した場合も各企業がサーバーを保有すればよいため,システム全体の管理が煩雑になることはありません。
再エネの利用は企業が取り組むべき共通の課題です。リコーは準リアルタイムに再エネの見える化を支援するシステムを構築することで,発電事業者,小売電力事業者,消費者というすべての関係者が,低価格で簡単に再エネを利用できる社会づくりを目指したいと考えています。
また,ブロックチェーン技術を使いこなすことにより,信頼性を生かした情報基盤による社会への価値提供を検討していきます。